この「名誉殿堂」は「ナイアル・オブ・パラダイス」において、特筆すべき業績を残した個人もしくは団体の栄誉を称える目的で設立された記録。
ここでは混沌の異世界のひとつ「テキサス」で活躍し「殿堂入り」した人物を記録している。
混沌世界を歩むあなたも、どこかで彼ら彼女らと出会い、その探索を豊かなものにするだろう。
ハリケーン・カーラは、かつてテキサスを直撃したテキサス史上最強のカテゴリー5のハリケーン。同時に幾つもの竜巻(トルネード)を発生させた非常に驚異的なものだった。本書の世界では、混沌世界の影響でハリケーンが意志と人格を持つ存在として、顕現している。やはり非常に強力な恐るべき風を持つが、人格を持ったことで、その力が人々に対し危害を加えることは少なく、むしろ混沌世界の大規模な異常気象を風の力で解決するといった行いをし、古き神々のように人々が畏敬する存在となっている。あまり人間社会に近づくことは無いため、賞を直接授与されてはいないが、「ニューフロンティア賞」「ナイアル平和賞」「ウッズマン賞」「血の杯」「アカシアの印」「ノブレス・オブリージュ賞」など、数々の栄誉を与えられるに相応しい存在。
Illustrated by usk https://twitter.com/usk_original
正式名称は「T-6 Texan」。航空機メーカー、ノースアメリカン社の練習飛行機。テキサスの工場で生まれ、アメリカのみならず、イギリス、第二次大戦後は日本をはじめ、多くの国で使用された。本書の世界では、混沌世界の影響で、意志と人格を持ったT-6が存在する。航空機と人間の形を自由に変形し、それはさながら高性能なトランスフォーマーのようだ。機械としてのコンピューター的な判断能力と、人間としての直感や感覚を巧みに使いこなすため、練習機としては勿論、戦闘機や偵察機としても非常に高い性能を誇る。その高い性能の安心さと女性のような外見を持つところから、軍では新米パイロットのフライト童貞筆おろしを担うお姉さん的存在として、性能共々信用が高い。「ナイアル平和賞」「ヒューズ・メダル」「ルプランス・プライズ」などを受賞し、戦争や技術人材開発の面で、混沌世界に大きく貢献している。
Illustrated by おにく https://coconala.com/users/845346
美術家「バーネット・ニューマン」により創造され、世界各地の美術館に展示されている彫刻作品。ピラミッドの頂点にオベリスクを逆さに立てた見た目が特徴的。本書の世界の「ブロークン・オベリスク」は、テキサスに展示されていたものが、混沌世界の影響で意志と人格を持ち顕現したが、その存在は非常にミステリアス。元々の作品自体が、評論家や人々が作品の意味に対して様々な考察や議論を展開されていたため、本書の世界の彼も多くの人々の関心を集める存在となっている。男性とも女性ともつかない成長期のような中性的な美しさ。その口がさえずる叙事詩のように奥深く、啓示のようにシンプルな言葉。彼が秘めたる謎に答えが出ることは未だ無いが、芸術家をはじめとした多くの人々が魅了され、そこからインスピレーションを得ることも多い。彼自身が何か特別な賞を受賞したということはないが、彼に影響された人々が「異世界批評家協会賞」「ナイアル・アワード」「オキーフ賞」といった、文化的な賞を受賞することが多いようだ。
Illustrated by 時庭遊
米国内のみならず、世界的に非常に多くの勝利数を誇るメスの競走馬。日本での知名度は皆無。主に短距離走を得意とし、無名馬相手ではあったが、無視できない比類なき実力を発揮している。通算成績は、151戦76勝、2着31回、3着21回。本書の世界では、混沌世界の影響で、人間の体として存在している。身体構造は人間に近づいたデミヒューマンだが、その走力が損なわれることは無く、対人間は勿論、現役競走馬と勝負しても対等かそれ以上に渡り合える。100mを6秒台で駆け抜けるというあまりの速さを誇るため、騎手無しで競馬のレースに出場することも多い。アイドルのような可愛らしい外見であるため人気が高いが、反面「優れた子孫を残す馬」としての人気も高く、倫理的にどうなんだという話題が一部であがっているが、当人はまるで関心が無く、走ること自体に夢中。「ヒューマンズMVP」を受賞する際に、受賞資格はあるのかなど議論があったが、この混沌世界において、人種や性別は勿論、人間であろうが動物であろうが機械であろうが、もはやそれぞれの違いなど大した問題ではないのだった。
Illustrated by うんぽぽ https://twitter.com/unpp208
「最後の一葉」「賢者の贈り物」などを代表作とする、300編以上の短編作品を残した小説家。かつてテキサスで、薬剤師、ジャーナリスト、銀行員などの仕事をしていた。本書の世界での彼は、オー・ヘンリーというペンネームだけでなく、本名ないし、その他の名義でも執筆活動を行っている。とりわけ、市民の哀歓を書き出すことが多く、世界の多様性に比例するかのように、その作品数や多様性も幅を広げている。「異世界批評家協会賞」を早々に受賞し、その中でも短編小説を評価する「オー・ヘンリー賞」の審査員を担っている。「オー・ヘンリー賞」が混沌世界で採用されたことがきっかけで、授与賞の細分化が進むこととなった。
Illustrated by mofumofu三羊 https://twitter.com/mofumofusanyou